不屈のクロニクル(左) 落ちるヒストリ(右)
2022年 アクリル、ポーリングメディウム、シリコンオイル 227×158mm
美術評論家の椹木野衣氏は著書「日本・現代・美術」において、日本の美術のことを同じ問題が反復される「悪い場所」と呼んだ。
その後「震美術論」では、2つの巨大な震災に直面し、「悪い場所」は比喩ではなく、いまではもう悪しき現実でもあると記している。
支持体を揺らしたり息を吹きかけて流す「フルイドアート」が、地震や自然災害に翻弄される日本の姿に似ていると感じ、制作に取り入れた。日本に住む人々が歴史や文化を積み重ねては
地震や災害で崩されきたように、この作品も私のモチーフである「0(ゼロ)」を重ねてはキャンバスを揺らし流し崩すことを繰り返して制作された。
また、海外で流行しているフルイドアートに日本の「墨流し」という技法を応用することで、和風のフルイドアートを制作することを試みた。